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偽装された復縁に 2

Penulis: 花室 芽苳
last update Terakhir Diperbarui: 2025-09-30 23:56:03

 やってしまった! とそこで気付いても、もう手遅れで。慌てて上手く誤魔化せるような言葉を考えたのだけど。

「誰って、ただの同居人ですよ。その、ルームシェアみたいな感じで今は住んでるので」

「ほほぉ、ルームシェアねえ……?」

 好奇心旺盛な轟《とどろき》さんがこれで納得してくれるはずもなく。興味津々といわんばかりの顔でこちらを見つめてくる。

 ああ、これはどうしたものか。

 だからと言って、本当の事など話せるわけもない。なので……

「絶対、信じてないでしょ? この話は、誰かに広めたりしないでくださいね!」

「はいは〜い、もちろん分かってるわよぉ?」

 そういうわりには、楽しそうにニヤニヤと笑っていてちょっと怪しい気がする

 本当に大丈夫かなあ? 悪戯っ子のような顔をしている轟さんに、少し不安を感じつつこの話を終わらせたのだった。

「……へぇ、部署メンバーでの慰労会か。参加していいんじゃないか、たまには?」

「本当ですか、ありがとうございます! 今回はどうしても参加したかったので」

 帰宅してすぐに朝陽《あさひ》さんに相談すると、案外すんなりと許可が下りた。本当にたまにしかないし、今回は轟さんが主役なので参加出来るのは凄く嬉しい。

 彼が良いと言ってるのだから、遠慮なく慰労会には行かせてもらう事にした。

「まあ、白澤《しらさわ》に送迎だけはしてもらえよ。店内の方は、他の社員もいるだろうから大丈夫だとは思うが」

「はい、分かりました。それと帰宅は遅くなると思うので、その時は朝陽さんを起こさないように気を付けますね」

 もしかしすると日付も変わってから帰宅する可能性もある。だから朝陽さんは先に眠るんだろうと思っていたのに。それは私の勝手な思い込みだったらしく。

「はぁ? そんなの、起きて鈴凪《すずな》の帰りを待ってるに決まってるだろ?」

「えっ? 待ってなくていいです、気にせず先に休んでてください」

 それは流石に申し訳なくて、朝陽さんにはゆっくりしてもらおうと思ってそう言ったのだけど。あからさまにムスッとした表情をされて、訳が分からず私の方が戸惑ってしまう。

「……ああ、そうかよ」

 ……ええと、なぜ今の会話で拗ねるのだろう? そんな要素は、さっきのやりとりの中にありましたか?

 やっぱり朝陽さんの考えてる事は、私にはよく分からないかも。その後に朝陽さんの機嫌を取るのが
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    「理由は何であれ、今のこの状況は良い感じなのではないかと思いますよ? 少なくとも私は、ね」「……まあ、それはそうかもですけど」 分かるような、分からないような微妙な話し方をするのはわざとだろうか? 白澤《しらさわ》さんはハッキリとした言い方はせずに、ぼかしてくるから朝陽《あさひ》さんにしか伝わらない事もあるはず。 なのに朝陽さんは、それを聞かなかったかのような素振りでスッと立ち上がって。「そろそろ俺は出る。鈴凪《すずな》、その鞄を玄関まで持ってこい」「はい? なぜ私が……って、もう! 朝陽さんは、いつも人使いが荒いんだから」 そう言った時には、すでに朝陽さんは一人で玄関に向かっていて。私は慌ててテーブルに置かれたままになっていた彼の鞄を持って追いかける。 そんな私の耳に、リビングに残っていた白澤さんの呟きが聞こえて……「おやおや、朝陽も意外と可愛いところがあるんですね。これは面白い」 どこをどう見たら、この暴君でドSな朝陽さんが可愛く見えるのか? 私にはどう頑張ってみても、一生理解出来ないような気がした。「それじゃあ、気を付けて行ってきてくださいね」「……ああ、行ってくる」 持ってきた鞄を渡してそう言ったけれど、特に朝陽さんの様子に変わったところは無い気がする。 んん、でもちょっと待って? なんか、こういうのって……いやいや、私と朝陽さんでそれはない。そう思ってリビングに戻ると、白澤さんがポソッと一言。「まさにお二人の新婚生活、そのものって感じですね?」「……白澤さん、もしかして人の心まで読めちゃったりするんですか?」 さっき一瞬だけ浮かんだけれど、打ち消しておいたソレをズバリ当てられ冷や汗をかきそう。まさかとは思うけれど、朝陽さんにはそんなつもりはないでしょうし。 ……でも確かに、今朝の彼は何かおかしかったような気もするのだけど。「ふふ、そんなまさか。ただ思ったことを、そのまま言ったにすぎませんよ」「そういう事にしておきます、余計に怖いので」 そう返せば、白澤さんはまた楽しそうに笑うだけで。よく考えてみれば、彼もここに来て笑ってばかりで機嫌が良さそうに見える。 その理由はきっと……「友達思いなんですね、白澤さん」「そうでしょうか? けれど、今の朝陽を見ていると嬉しいとは思いますね」 また含みを持たせた話し方、でも

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